鼎談 「創作ゼミ」の真実 古橋秀之/秋山瑞人/金原瑞人(『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』)
情報
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概要
翻訳家の金原瑞人と、「金原瑞人・創作ゼミ」の出身者である古橋秀之・秋山瑞人両名との鼎談。 同ゼミは、テーマも表現形式も自由、ノルマは一年間に書く枚数のみ、というかなりゆるいものだったらしい。
そんなゼミのゆるい雰囲気や、古橋・秋山のゼミでの思い出など、大学時代の様子が伺えるほか、二人のデビューの経緯なども知ることができる内容となっている。
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その他
金原ゼミはかなり緩い雰囲気だったようで、「『えー、またみんな書いてきてないのか』ってお茶飲んで雑談して終わり」ということがよくあったとのこと。実際、古橋はマンガ研究会で描いたマンガ、秋山はサークルで書いた同人小説をそのまま提出することもあったらしい。秋山いわく、「サークル活動で単位もらってたようなもん」。
また、二人の様子について金原は、
最初から目を引くゼミ生っていうのは、必ず何人かいて、ふたりともそういう感じだったよね。タイプは全然違ったけど、初めからけっこううまかったし。古橋の方は[…]相手にちゃんと届くような形で表現できるタイプだった。文章も構成もしっかりしてて、ぼくが手を入れるようなところはほとんどなかった[…]/秋山のほうは、ほとんどSFオタクだったよね。ガチガチにハードなSFばっかり書いてて、それなりにうまいんだけど、なんだかよくわからんぞっていうような。
と回想している。(これを受け秋山は「あの頃はウィリアム・ギブスンにハマっていたんですよ。」と返答。) 秋山の濃いSFのパロディを古橋が書いてきて、そのパロディの方がゼミ内ではウケが良かった、という話もあり、たいへん面白い。(驚きなのが、古橋の『ブラックロッド』のベースはそのパロディ短篇だった、ということ。)
秋山は、そんな感じでガチガチのSF作品を持っていったら他のゼミ生から当惑された経験のおかげで、自分の書きたいものをより読者に伝わるように分かりやすく書けないか考えるようになった、と述べている。ゼミでの経験はその後の執筆活動にもけっこう影響を与えているようだ。
これも注目。
金原 ふたり以外にも、けっこう書けるゼミ生は何人かいたんだよね。これまでのトータルで考えると、そこそこいいものを書く学生は十人くらいはいたと思う。でも、「[…]雑誌とか新人賞に投稿したら」って言っても、意外とそういうことはしない。